はるちゃんの介護日記

09.婆ちゃん、ころぶ

 何だかんだと、試行錯誤しながら一年と数ヶ月が過ぎました。
 気温が高くなってきたので散歩に行く時間も少し涼しくなる夕方にしていただいたり、散歩後にシャワーの時間を取ってもらったりしました。相変わらず大好きな病院にも行っていました。何処にでもゆっくりと杖で出かけられるようになったら、義母はいつものお気楽婆ちゃんに戻っていました。マイペースの義母にうんざりすることもありましたが、比較的順調な毎日でした。
 義母も私たちも、そんな日々に油断をしていました。
 ある日デイサービスに出かけて何時間か経った時、施設から電話が鳴りました。「お婆さんが、転んで痛がっていらっしゃいますので病院に連れて行ってあげてください」大変だー!! すぐに車で迎えに行きました。
 施設に到着して「すみません、お願いします」と窓口で声をかけると「しばらくお待ち下さい」と事務の方から言われました。玄関先で待っていると中からカラオケの音が‥‥『アッー、そういえば今日は誕生会だとハリキッってたなー』『ここで待てと言うことは、義母はたいしたことなくて誕生会に出てるのかしら』なんて勝手に思いこんでいました。5分ぐらい待ってカラオケが終わると婦長さんという方が出てこられました。「アッ婦長さんが歌っていたのか。(後で確認しました)とにかく義母が何ともなければ幸いだわ。」「こちらへどうぞ」婦長さんから案内されたのは医務室でした。
 部屋へ一歩はいると、明かりは消されていて薄暗い中から「イタイ、イタイ」と義母の声が聞こえます。よく見るとベットの上で苦しんでいます。『どういうこと?玄関で待っている間も義母はこの薄暗い部屋の中で苦しんでいたの?』『何故早く私を案内してくれなかったの?』『婆ちゃん大丈夫?』動かそうとすると「イタイ、イタイ」と唸っています。「これは救急車を呼んだ方が良いんじゃないの」少し声を荒げますと、婦長さんが「大丈夫ですヨ。今から車まで連れて行きますから」と平然としています。『婆ちゃんが大騒ぎしているだけなのかな』婦長さんに言われるとそう思ってしまいました。
 義母は婦長さんに無理矢理、車椅子に乗せられようとしています。「イタイ!イタイから止めて!」と義母は叫んでいます。『おかしいぞ』と思いながらも「病院へ連れて行くから少し我慢して」と説得しました。そして車椅子から車へ移る時も「ヤメテ〜!!ヤメテ〜!!」と大声をだします。婦長さんは「大丈夫だから、大丈夫だから」と車へ押し込むように義母を乗せました。
 私が「お世話になりました」とお礼を言うと、とつぜん婦長さんは「ヒョッとしたら、骨折しているかもしれないから総合病院へ連れて行ってね」とおっしゃいました。『何いってんの!それなら救急車でしょうが』とものすごく腹が立ちましたが、こんな所へは一秒も居たくないと思い、後は何を言われても知らん顔をして車を発進させました。
 総合病医院に向かう途中で義母が「迷惑かけるねー」と謝ります。ますます婦長に腹が立ってきました。「婆ちゃん我慢してヨ〜すぐ病院に着くからね!頑張ってね!」義母は「ゴメンよ、ゴメンよ」と泣いています。「何いってんの婆ちゃんのせいじゃないよ」胸がつぶれそうで運転をしながら泣けてきました。(はるちゃん)


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