記者ノート

知恵も工夫もみえない

 地方自治法の改正で「指定管理者制度」という言葉をよく聞く。公的施設の管理や業務の委託に民間を参入させるものだが、委託費は標準人件費なるものを導入して、現在、委託を受けている財団の職員給与より低く抑え、金を浮かせようというもの。応札する民間がない場合は、現状の財団が委託を受けるしかないが、標準人件費が摘要され、給与は下るのである。一見、いいことに思えるが、何をしてでも支出金額を抑制することだけに固執する県の姿が大きく映る。

財政緊縮を盾にしたやり方は、特に文化施設では大きな問題を抱えることになる。自主事業を展開している施設は何もできなくなるし、民間が入れば、それこそ営利しか考えない事業が増えることは間違いない。これまで、県民の文化向上を掲げてきた県などは何をどう考えているのだろうか。もともと文化に投入されてきた金額は、他のハード事業などに比べれば桁違いに少ない。であるのに、財政再建という刀で、十把ひとからげで何もかもで締め付けることは禍根を残す。

文化は確かに費用対効果が表しにくい。目に見えないし、無くても生きてはいける。だが、生活の潤いやゆとりといった、人間だけに与えられた「権利」はどうなるのだろう。ひと昔前、図書館の図書購入費が削られた時代があった。高い金で買った本を読んだ子どもが何人偉くなったか、などと数字で表せたらと当時の書司さんのぼやきが蘇る。

島根県も文化指針を持っているはず。金がないから仕方ない、領域は設けないというなら、これまでの文化行政の総括を示すべきである。そして、今後どう考えていくのかも。財団も知事が鳴り物入りで立ち上げたものもある。事業継続ができなくなるのであれば、当然、総括をし、県民に説明すべきだ。「金がない」と、知恵も工夫も見せないやり方は子どもでもできる。(俊)


  

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